本辞典は南琉球宮古語池間方言(以下「池間方言」)のうち宮古島北部に位置する西原地区にみられる下
位変種の基本的な語彙および成句、約6,000 項目を収録したものである。池間方言は宮古島の北に位置する
池間島を発祥の地とし、現在はその池間島のほか、佐良浜(宮古島西隣の伊良部島東部海岸より)、そして西
原の三地区で話されている。佐良浜地区には約300 年前、西原地区には約150 年前(明治7 年)に池間島か
ら、琉球王府の命令により分村という形を通して池間方言話者が移住してきた。この三地域で話される池間
方言は微細な違いはあるもののお互いのコミュニケーションには全く支障はないとされている。現在でもこ
の三地域の人々は「池間民族のつどい」という毎年の行事を通し、言語文化を共有する「一民族」というア
イデンティティ継承の努力を続けている。